介護保険の応益負担とは?介護費用はどのぐらい?自己負担はどのぐらい?

介護と聞くとあなたは何が一番気になりますか?

 

「介護をする時間を作らないといけない」

 

「介護には体力が必要」

 

「介護と仕事の両立はできるのか?」

 

どれもこれも非常に気になることだとは思いますが、介護の費用はどのぐらいかかるのか?』も大きな関心ごとなのではないでしょうか?

 

日本では2000年から5つ目の公的社会保険である公的介護保険制度がスタートをしています。

 

ただ医療保険制度とは違って実際に使う対象者が限られているため実感がないというのが実情でしょう。

 

対策を立てるためにも介護については知っておく必要があります。

 

今回は、そんなよくわからない介護の中のお金の面、『介護費用の自己負担額など』についてです。

 

 

■介護保険制度の仕組み

介護保険制度の詳細についてはすでに他の記事でご紹介しておりますので、気になるかたはこちらの記事をお読みください。

>>介護保険制度とは?おさえておきたい基本とポイント

 

ここでは簡単に説明をさせていただきます。

 

公的介護保険制度は、2000年からスタートをした制度で、40歳以上の方が保険料を負担者となっています。

 

この保険料と公費で介護サービスの費用が賄われていますが、一部は利用者の自己負担となっています。

 

健康保険や国民健康保険のように一部自己負担で介護サービスを受けることができるという公的な介護保険制度です。

 

 

■介護サービス利用時の自己負担

介護保険の自己負担額は、基本的には1割負担です。

 

しかし、2018年8月からは制度改定があり、現役並みの所得がある方など所得に応じて、2割負担・3割負担となりました。

 

高所得者は3割負担

年金収入等が340万以上

夫婦世帯463万円以上

3割
年金収入等が280万以上

夫婦世帯346万円以上

2割
年金収入等が280万円未満

夫婦世帯346万円未満

1割

 

自己負担にも上限がある

いくら自己負担割合があるといっても元々の費用が大きくなると、比例して自己負担額が大きくなり支払いに支障をきたす可能性があります。

 

そこで介護保険制度では、1ヶ月の利用負担の上限が設定されています。

 

この制度を「高額介護サービス費」といい、以下のような上限額が設けられています。

 

【高額介護サービス費】

所得区分 自己負担上限
世帯のどなたかが市民税を課税されている方 44,400円
世帯の全員が市民税を課税されていない方で、前年の合計所得金額と公的年金収入額の合計が年間80万円を超える方 24,600円
世帯の全員が市民税を課税されていない方で、前年の合計所得金額と公的年金収入額の合計が年間80万円以下の方等 15,000円
生活保護を受給している方 15,000円

 

世帯合算や医療合算などの上限がある

同じ世帯で夫婦2名とも介護サービスを利用している場合は、高額介護サービス費の仕組みがあっても負担額が高額になるため、軽減制度が用意されています。

 

また医療費と介護費の両方がかかった場合には高額医療・高額介護合算療養費制度という軽減制度も用意をされています。

 

公的介護保険で全て問題なしとは言えませんが、しっかりと介護サービスを受けれる体制が用意されています。

 

 

■介護度による支給限度額

自己負担割合や高額介護サービス費があるからといって、無尽蔵にサービスを利用できる訳ではありません。

 

介護度に応じて上限が設けられています。

 

公的介護保険の利用をするときには、介護認定を受ける必要があります。

 

介護認定とは、介護が必要な度合いを区分けしたもので、要支援1〜2・要介護1〜5の7段階に分かれています。

 

それぞれ介護度が異なるため、必要な介護サービスも異なり、必要な介護費用も異なります。

 

平成29年度の厚生労働省の資料からは以下のように規定されています。

 

【介護サービスの利用限度額】※自己負担1割の場合

要介護度 利用限度額(月)
要支援1 50,030円
要支援2 104,730円
要介護1 166,920円
要介護2 196,160円
要介護3 269,310円
要介護4 308,060円
要介護5 360,650円

 

 

■対象外の自己負担に注意

公的介護保険のおかげで自己負担額1割〜3割で介護サービスを受けることができますが、あくまで対象となるのはサービス費用だけです。

 

施設に通う場合に必要となる日常の生活費や食費、また施設利用時に発生する滞在費、施設サービスを使う場合に発生する居住費などは公的介護保険の対象となっていません。

 

つまり、公的介護保険の自己負担以外にも、公的介護保険の対象とならない自己負担が発生します。

 

公的介護保険があるから何も準備はいらない、ということではありませんので注意しましょう。

 

 

■応益負担が変化してきている?

保険者である市町村は3年を1期として介護保険事業の見直しをしています。

 

事業としてしっかり運営できるように保険料の改定を行うのもこの見直しのタイミングです。

 

厚生労働省の資料によると、公的介護保険スタート時の保険料の平均額は、2,911円となっています。

 

これが2014年には、4,972円。2025年の見込みでは、8,200円となっています。

 

2000年から比較をすると、1.7倍〜2.8倍にもなっています。

 

今後ますます保険料は上がっていく可能性があり、また払える人に払ってもらう応能負担の要素が強くなってくる可能性があります。

 

今後は、ご自身でも対策する自助努力がますます求められてきます。

 

 

■最後に

日本は今後、高齢化がますます進んで介護サービスの利用者は増加をしてくる傾向にあります。

 

逆にその財政を助ける現役世帯は現象をしていくため、自ずと自己負担割合が大きくなってくることが予想されます。

 

幸いなのは必ず人間は歳をとることはわかっているため、介護や認知症が発生する可能性のある時を認識することができます。

 

問題が起こることがわかっているのであれば、事前に対策をすることも可能です。

 

日本という社会が抱えるしっかり向き合うべきな問題なのではないでしょうか?