年が改まるとそろそろ確定申告の時期がやってきます。
家庭によっては医療費控除を受けるために、1年間分の医療費の領収書の合算を行う人もいるでしょう。
確定申告では医療費控除があっても、介護費控除というものはありませんが、介護サービスを利用した費用の中には、医療費控除の対象になるものがあります。
今回は「介護費用も医療費控除の対象になるものがある」についてです。
■医療費控除の対象になる介護費用は?
対象となる介護サービス利用料を合算することで、控除額が大きくなる可能性がありますよ。
まず介護サービスには、医療系介護サービスと福祉系介護サービスの二つがあります。
医療系介護サービスに分類される介護サービスを利用した場合は、その介護費用が医療費控除の対象となります。
介護施設に入所した場合、その施設が医療系介護サービスであれば介護サービス費用や食費、そして居住費の全額が医療費控除の対象になります。
医療系介護サービスに該当するのは「介護老人保健施設」「介護医療院」「指定介護療養型医療施設」です。
これらの施設で診療や治療を受けるために個室を使用した場合の使用料も、医療費控除の対象となります。
■福祉系介護サービスは一部?
一方で福祉系介護サービスの場合は、介護サービス費や食費は全額が医療費控除の対象となりますが、居住費は半額が対象となります。
施設利用料の明細に「医療費控除の対象額」が記載されるため確認してみてください。
■在宅介護のサービスは?
次に在宅介護で受けられる介護サービスについてもチェックしましょう。
在宅介護では医療系介護サービスは基本として医療費控除の対象となりますが、福祉系介護サービスは医療系介護サービスとの併用で対象となってきます。
在宅介護で利用できる介護サービスは、指定居宅サービス事業者が担いますが、どのサービスが医療費控除の対象となるか、対象となるサービスの利用料はいくらかという点は、必ず領収書に記載されますので、領収書を確認するようにしましょう。
介護依存度が高まるとおむつが必要になることもあるでしょう。このおむつ代も医療費控除の対象となります。ただし、医師発行の「おむつ使用証明書」が求められますので、かかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。
病院への通院では交通費も医療費控除の対象となりますが、介護施設に通うときに通常必要な交通費も医療控除の対象となります。
ただし、タクシー代は基本的には対象外です。
タクシー代が医療費控除の対象となるのは、公共交通機関が利用できない場合です。
歩行が難しい高齢者の場合には、タクシー代も医療費控除の対象となることがあります。
念のためタクシー代の領収書は保管しておくとよいでしょう。
■見分け方のポイントは・・・
医療費控除の対象になるサービスについて説明してきましたが、一見似たように見える介護サービスでも医療費控除の対象にならないものがあります。
主に生活援助が中心となるサービスや、福祉用具のレンタル費用、民間介護施設である有料老人ホームの費用や認知症高齢者のグループホームなどです。
これらは医療サービスではないことが明らかとなるため、介護費用ではあっても医療費控除の対象にはなりません。
ポイントとしては、その介護サービスを利用するにあたって「医療の関わり合いがあるか」で判断するとよいですね。
介護施設を利用するための交通費を除けば、領収書に医療控除の対象となるかどうかと対象となる金額が記載されます。
記載がない場合は医療費控除の対象外と考えると判断しやすいでしょう。
医療費控除の対象となる領収書はかならず保管しておきましょう。さらに、必ず確定申告を行うようにしましょう。
医療費控除を受けることで所得税の還付があるだけではなく、場合によっては非課税世帯になる可能性もあります。
翌年の介護費用の自己負担額が軽減する可能性もありますよ。