生命保険の中で経営者に最初におすすめなのは・・・?

2019年2月に起きたバレンタイン・ショックが起き、その後中小企業向けの全損商品は販売休止となりました。

 

中小企業向けの生命保険というとこのような税金対策のための保険を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、保険本来の使い方ではありません。

 

では、経営者の方が会社で生命保険に加入するときにまず最初に検討をすべきなのはどのような保険なのでしょうか?

 

今回は、経営者の方に最初におすすめする保険についてです。

 

 

■生命保険はリスクに対応するための商品

 

生命保険という金融商品の本来の機能は万が一のリスクに対応するということです。

 

万が一のリスクは様々あり、それぞれについて検討をしていかないといけません。

 

まず最初におすすめする商品というのは、会社経営者が「最初に対応をしておきたいリスクは何か?」ということになります。

 

■まずは借入金の対策から

会社経営者がまず最初に対応をすべきなのは、借入金の対策です。

 

会社は無借金であれば良いですが、事業を積極的に拡大しよう、成長させようと思っている会社ほど借入金は増加する傾向にあります。

 

借入金は運転資金である短期と設備投資である長期に分けることができます。

 

運転資金に当てる短期借入金は、社長に万が一のことがあっても売上に影響がなければ対策が不要ですが、中小企業で社長に万が一のことが起こったのに売上に影響がないという会社は少ないでしょう。

 

また設備投資のための長期借入金は、利益が返済原資になるため万が一の際にはしっかりと返済ができるように対策する必要があります。

 

短期借入金は売上減少を加味した金額+長期借入金は全額を賄える保障が必要です。

 

 

 

■対策をしないとこんなリスクが!

借入金の対策の話をすると、「自分に万が一のことがあったら会社を閉めるからいい」という方がいます。

 

しかし、会社を閉めるからといって借金の返済をしなくて良いという訳ではありません。

 

少しずつ変わってきてはいますが、まだまだ会社の借金には社長個人の連帯保証が必要になります。

 

連帯保証は、簡単いうと会社が返せなかったら社長個人が返しますよということです。

 

この連帯保証が非常に厄介で、社長に万が一のことがあると残された遺族の方に相続されてしまいます。

 

つまり、自分に万が一のことがあったら会社の借金は残された家族が返さないといけないということです。

 

「相続放棄をすればいいのでは?」という意見もありますが、その場合にはプラスの財産も全て放棄をしないといけません。

 

社長の給料や資産で生活をしている家族がいる場合には、全てを失ってしまうことになります。

 

会社が儲かるように、存続するようにと保険を活用することも重要ですが、まずはマイナスを0の状態にできるように借入金の対策からしていきましょう。

 

 

■借入金の対策であれば収入保障保険

借入金の対策をしていくためにはどのような保険を活用すれば良いのでしょうか?

 

簡単にいうと、借入金を返済できる分の保険金額が入ってこれば良いということになります。

 

ご自身の退職金準備などですでに保険を活用されている方は、その保障額が十分であればその保険を使うと良いと思います。

 

しかし、保険に入っていない、不十分であるという方は保険料が安い収入保障保険を活用すると良いでしょう。

 

収入保障保険は、逓減定期や家計保障保険など別の言い方もしますが、保障が徐々に減少していく保険種類のことを言います。

 

借入金は、返済をしていくため徐々に少なくなってきます。

 

この減少に合わせて合理的に保険を選ぶのであれば、同じように減少していく収入保障保険を活用すると良いでしょう。

 

しかし、場合によっては保障額が減少しない定期保険などを使った方が良い場合もありますので、専門家に相談をすることをおすすめします。

 

 

 

■保障設定は税金を考慮しよう

「借入金が1,000万円で5年返済だから、この金額と期間で設定しよう」

 

このように思った方はご注意ください。

 

生命保険の保険金は、益金計上され課税対象となる可能性があります。

 

1,000万円必要なのに、入ってきたお金から税金分を差し引かれてしまうということになりかねないので、借入金の金額×1.5倍で算定した金額を準備するようにしましょう。

 

■なぜ借入金対策が一番最初なのか?

なぜ借入金対策が一番最初なのでしょうか?

 

今までの内容でも伝わるかもしれませんが、まとめておきたいと思います。

 

遺族が困る

日本では相続によってプラスの財産もマイナスの財産も相続人に引き継がれます。

 

基本的には相続人は家族であると思っておけば良いでしょう。

 

この家族が高額な法人の借入金を返さないといけないとなると非常に大変です。

 

家族が困らないように対策をしておきましょう。

 

事業承継してくれない

社長に万が一のことがあると残された家族や会社の株式を相続して、その後の判断をしていくことになります。

 

ここで多額の借金があると事業承継をして継続しようという意欲が削がれてしまいます。

 

会社を引き継がない理由の上位に「借入金があるから」ということがランクインしています。

 

事業承継を望むのであればなおさら対策をしっかりしておくようにしましょう。

 

まずはマイナスを0に

会社経営者の資産の多くは事業性の資産であることが多く、自社株や不動産など換金がしにくいが高額というものが多くなる傾向があります。

 

事業承継の対策もしっかりと進めていかないといけませんが、マイナスの財産を0にできればその後の選択も取りやすくなります。

 

まずはマイナスに対する対策から始めていきましょう。

 

 

■まとめ

中小企業経営者はたくさんのリスクのもとに事業を行なっていかなければいけません。

 

日々売上を上げるという攻めの仕事をしていらっしゃるかと思いますが、時には時間を作って守りを固めることも必要です。

 

保険という商品は、守りを固める上では欠かせない商品です。

 

ぜひ一度しっかりと専門家に相談をしてみませんか?