相続の基礎!相続と相続税の関係とは?

相続税の基礎控除の改定を期に相続への注目が強まりました。

 

それまで相続なんてことに関心がなかった方からも「相続について教えてほしい」と依頼を受けるようになり、相続を一つの問題として社会が考え始めていることは非常に良いことだと感じております。

 

相続は一見すると難しいですが、大抵のことは一般的な知識と対策でことが足りることが多いように思います。

 

しかし、相続を考える上でしっかりと理解をしておかないといけないことがあります。

 

それは相続は2つの側面から見ないといけないということです。

 

今回はこの相続の2つの側面についてお伝えしたいと思います。

 

相続の2つの側面とは?

「相続の2つの側面??何それ??」

 

相続の話をする時に、まずはこの2つの側面を理解してもらうことから意識をしております。

 

なぜならここを理解しておかないと、対策などにも支障が生じるからです。

 

では、2つの側面とは何でしょうか?

 

それは、民法と税法です。

 

別な言い方をすると、分割の問題と納税の問題があるということです。

 

なぜこの2つを分けて考えないといけないのでしょうか?

 

同じことでも民法側から見るのと税法側から見るのでは全く異なることになるからです。

 

例えば、相続で渡す物やお金などの価値を考えてみましょう。

 

相続財産によく含まれてくる財産に土地があります。

 

この土地は一体いくらで相続をするのでしょうか?

 

この土地を民法側である分割面で見ると、「実勢価格」で相続をするものと考えます。

 

つまり1,000万円で売られている土地だから1,000万円の価値がある土地として相続をされるということです。

 

では、税法面ではどうなるでしょうか?

 

税法では、相続税の算出をする時に実勢価格や時価ではなく、相続税評価額という尺度で測らないといけません。

 

土地は、国税庁が発表している路線価で評価をするとなっているため、概算になってしまいますが実勢価格の約80%ほどになります。

 

さらに言うと、一定条件を満たすことで小規模宅地の特例という土地の相続税評価をぐっと下げる評価方法を適用することができます。

 

そうすると評価は20%(80%減の評価)の評価となるので、160万の相続税評価で相続したものとして相続税の計算をします。

 

民法側では1,000万、相続税側では800万または160万(※この相続税評価の変化だけでもわかりにくいですね)となってしまいます。

 

相続を考える時には、「これは民法側?それとも税法側?」ということを意識することが非常に重要になってきます。

 

2つの側面を意識しないと起こってしまう問題とは?

相続のこの2面性を考慮しないと起こってしまうのが、「自分の家庭は大丈夫。しっかり確認もしたから問題ない」と思ってしまうことです。

 

実際にある相続コンサルタントの方から聞いた話をご紹介します。

 

相続コンサルタントの方の元に、相続で揉めて揉めて大変だから助けてほしいという依頼がありました。

 

相続コンサルタントの方は、実際に相続人の一人で被相続人の奥様に面談をし、様々な側面でヒアリングをしました。

 

その被相続人の方は会社経営をしていて、財産のほとんどが自社株や事業性の資産だったそうで、計算をすると結構な納税額になってしまうということである専門家のアドバイスを受けて生前贈与や他の施策を行うことにしました。

 

実際に相続が発生しましたが、事前に対策済みと安心しきっていましたが、財産の分割の段階で、「生前贈与分は持ち戻して財産の分割を」という話がでてしまい、その家族は揉めることになってしまったのです。

 

・・・・いかがでしょうか?

 

どこに問題があったかお分かりになりますか?

 

被相続人の方はしっかりと相続の対策を行うという意識があり、実際に行動にも移していました。

 

しかし、実際には相続の1つの側面である相続税の問題にしか取り組んでいなかったのです。

 

財産を先に渡すことによって相続税の対象となる財産は減少しますが、分割面ではすべて持ち戻しです。※現在は民法改正で解釈が変わっています

 

結局は対策を打っていなかった分割の面で揉めてしまう、相続コンサルタントの事務所に駆け込むことになってしまったという話です。

 

この時に税法側だけでなく民法側にも気を使っていると話は異なっていたかもしれません。

 

この2つの側面というのは、相続の専門家と名乗っている方でも理解をしていない方もいる場合もあるので注意をするようにしましょう。

 

民法側の問題とは?

民法側の問題とは何でしょうか?

 

実際には民法と税法は相対する問題ではなく、相続を対象としているのは民法で、その一部に税金の問題である税法の問題が入ってきているということになります。

 

相続の問題や対策を考えるのであればまずは民法側ということを意識すると良いでしょう。

 

民法側での問題は、「遺産をしっかり残された方で分けることができるのか?」ということが最大の問題になります。

 

均等に分けるのが良いのか?

 

これまでの家族での関係性を考えて割合を考えた方が良いのか?

 

亡くなった被相続人の意思はどうなのか?

 

家族という非常に関係性の深いところで起きるお金の問題なので、論理だけでは解決が難しいことがあります。

 

民法側の分割の問題は、期限に終わりがないため数年に渡って問題が収束しないケースも多々あります。

 

残された家族が困らないように事前に対策をしっかり練っておく必要があります。

 

税法側の問題

税法側の問題とは何でしょうか?

 

税法側の問題は、相続税の支払いができるかどうかという問題です。

 

「財産をもらって、その中から税金を払うのだから支払いができないなんて問題はないのでは?」

 

このような疑問を持つ方も多いでしょう。

 

確かに1,000万もらって、税金で100万払うとかであれば問題ないでしょう。

 

でも1,000万円の骨とう品や土地をもらって、100万円払わないといけないというケースではいかがでしょうか?

 

しかも民法側と違って相続税の支払い期限は相続が発生してから10カ月です。

 

物納(その物自体で税金を納める)という方法も考えられますが、適用条件が厳しくほとんど使うことができません。

 

つまり相続税の支払いは、現金で一括で期限までにしないといけないということになります。

 

自分には資産などないと思っている方、特に中小企業経営者は注意をしましょう。

 

税理士に確認をして相続税がかかる可能性があるのか、ないのかを確認するようにしましょう。

 

 

相談は誰にすべきなのか?

相続税の相談であれば税理士の先生に、分割の問題であれば弁護士や司法書士の先生に相談をすると良いでしょう。

 

2つの側面があるということは、それぞれの専門家に相談をしないといけないということになってしまいます。

 

相続で対策漏れや対策間違いなどが起きていしまうのは、この2面性に大きな問題があるように感じますが、現状はそれぞれに相談をするしかないでしょう。

 

しかし、現在は相続問題への意識の高まりもあり、様々な業界の方が税理士や弁護士の先生につなげることができるようにコンサルティング力を強化しています。

 

税理士や弁護士の士業の方々も、関係する法律について勉強するだけでなく、コーディネーターの役割を果たす人との連携を強化しています。

 

民間の資格ですが、相続診断士という資格も広く普及し、あなたの相続問題をコーディネートしてくれる役割を果たしてくれる人も増えてきました。

 

手前みそですが、「みなさまの暮らし.NET」を運営している総合保険代理店 株式会社みなさまの保険.COMでも相続のご相談をお受けして、相続問題のコーディネーターの役割をいたしておりますので、ぜひご相談ください。