親の介護費用は親の年金や資産で賄えれば問題がありませんが、介護費用が高くなると子どもに経済的な負担が掛かってくることが考えられます。
親の介護にかかる費用はどのくらいなのか、平均値から見ていきましょう。
■平均的な介護費用の金額は?
平成30年度に行われた調査では、毎月の介護費用の平均は約78,000円でした。
また平均的な介護期間は54.5カ月となっているため、介護が始まってから終わるまでの費用は約4,251,000円となります。
ここに介護を行うために必要な初期費用として平均690,000円かかっているため、トータルすると約5,000,000円が介護費用として必要となります。
この5,000,000円ですが、あくまでも平均的な費用です。
介護はその人の生活状況や介護依存度、どこで介護を受けるのかによって大きく変わります。また親の年収によっても介護にかかる費用は変わります。
■まずは公的介護保険制度をチェック
満40歳から介護保険を納めていますが、65歳以上になり要介護認定を受けると介護保険を利用して介護サービスが受けられます。
介護保険を利用して介護サービスを利用すると、介護度によって利用上限額内であれば自己負担額のみで介護サービスを受けられます。
このとき、一般的には1割の自己負担で済みますが、年金収入を含め一定以上の収入があると2割負担、現役世代並みの所得がある人は3割負担となります。
親の収入を把握し、どの程度自己負担をしなければならないかで介護費用には大きな差が出てきます。
■自宅で介護か?施設で介護か?
どこで介護を受けるのかでも大きな差が生まれます。
自宅で介護を受ける場合は比較的介護費用の負担は軽くなりますが、その分介護を担う人の負担が増えるでしょう。
公的介護施設に入居した場合は、自宅介護と同等もしくは多少上乗せしたくらいの費用負担で済むこともあります。
ですが、民間介護施設に入居した場合は、介護費用の負担は高まります。
介護にかかる費用自体はどこで介護を受ける場合でも同じくらいですが、介護施設に入居すると、居住費や管理費、食費などが必要となります。
自宅介護の場合でも、食費や日常生活を送るための費用は必要ですし、介護依存度が高まるとおむつなどの介護用品も必要となるでしょう。
介護サービスにかかる費用よりも、介護サービス以外にかかる費用の方が高くなることは多いのです。
そのため、公的介護施設である特別養護老人ホームへの入居で極端に介護費用が掛かることにはなりません。
ですが、有料老人ホームなど民間介護施設に入居した場合は、施設の設備やサービス内容により費用に違いがあります。入居費や管理費、介護以外の部分のサービス、食費などもまちまちです。
親がどのような介護を望むのかを把握しておく必要があります。
■年金額で介護費用を賄えない場合・・・
親の年金や資産では賄えない場合、子どもが親の介護費用を負担することになるでしょう。
兄弟がいる場合はどのような割合で負担していくのかを話し合う必要があります。
介護費用の負担や、介護そのものにかかる身体的精神的負担が偏ると、相続の際に大きなトラブルが起こるケースもあるので注意が必要です。
また、親が認知症になり資産の全容が分からなくなるようでは困ります。
お金の話は親子でもしにくい話題ですが、親が元気なうちから話し合いをしておくことも大切です。
■事前に見学など準備をしよう
親の介護はどうしてもお金が掛かるものと考え、事前に親と一緒に介護施設の見学を行い、親の収入や資産で賄える範囲内で介護が行えるかを相談しておくとよいでしょう。
親の介護費用を子どもが負担できた場合でも、将来自分が介護を受ける時、資産がない、費用がない状態になってしまっては困ります。
ある程度余力を残しつつ、負担できる金額を決めておくことも必要です。
どこまで負担ができるのか、家族みんなで話し合いを持つことはとても大切といえますね。