医療や介護に高額の出費があった場合、それが同じ世帯内であれば様々な控除が受けられます。
ですが、別々に暮らす親の場合はどうでしょうか。
親の介護費用を負担した場合でも、場合によっては各種控除が受けられます。
今回は、「介護費用に関する各種控除」についてです。
■受けられる控除の種類は?
親の介護費用を支払う子どもが受けられる可能性が高い控除は「医療費控除」「扶養控除」「障碍者控除」の3つです。
これらの控除は所得税や住民税を計算するときに申告すべき収入を減らせるため、税金が安くなるのです。
また、場合によっては非課税扱いとなり、介護施設や介護サービスを利用するときの自己負担が軽減されることもあります。
介護費用は高額になることもあるため、使える控除はしっかりと使い費用を抑えていくことも考える必要があるでしょう。
■控除適用の条件は?
控除が適用されるにはいくつかの条件があります。
多くの場合「生計を一にしていること」が条件となります。
生計を一にするというのは、同居していることと同意語と考える人は多いようですが、別居している親でも生活に必要な費用の大半を子どもが負担していれば生計を一にしているとみなされます。
親が独立して生計をたてられている場合には条件にあてはまりませんが、多額の仕送りをしていたり介護費用を負担していたりする場合には税務署に相談してみるとよいでしょう。
もし生計を一にしているとみなされない場合でも、親の確定申告を行うことで親の税負担が軽減したり、介護サービスの利用料が軽減したりすれば介護費用の負担は減りますよ。
医療費控除
医療費控除は生計を一にする人全員が支払った医療費を合算して申告できます。
介護を受けている親の場合、実際にかかった医療費の他に医療系介護サービスを利用した費用についても合算可能です。
紙おむつなども医師が必要と判断していれば医療費控除の対象となります。
介護サービスの利用料が高額になった場合には、「高額介護サービス費」を活用することで超過分は介護保険から払戻しされますが、払戻しを受けた分は医療費控除の対象とならないため注意しましょう。
扶養控除
確定申告の際は扶養控除が受けられます。
親が扶養者と認定されれば、扶養控除も適用になります。
70歳以上の扶養親族は同居の場合58万円、別居の場合でも48万円が控除されます。
介護保険制度において、要介護認定を受けていると税法上は障がい者とみなされることがあります。
税法上の障がい者は障がい者手帳を持っていなくても認められることがあります。障がい者控除は大きいため、確認してみるとよいでしょう。
障がい者控除
介護認定を受ければ自動的に障がい者控除の対象になるわけではありません。
まずはお住まいの自治体で確認するとよいでしょう。
■確定申告が必要
さまざまな控除を受けるためには、確定申告を行う必要が出てきます。
このとき、親の介護保険や健康保険料を支払った場合は社会保険控除も受けられます。
親の年金受給額が少ない場合には、納付書での支払いや口座振替で支払いを行うため金額を確認しておきましょう。
もし年金から天引きされている場合には日本年金機構が発行する「公的年金等の源泉徴収票」を確認して金額をチェックしておきましょう。
■節税効果を高めるためには・・・
このような控除を活用する場合、一番所得が高い方が申請をおこなうと節税効果が高まります。
そもそも所得税の支払いがなければ控除を受けてもあまり意味がありません。
サラリーマンの場合、源泉徴収されている所得税の還付が期待できますが、そもそも源泉徴収されている所得税自体が少なければ、還付はないのです。
所得税率が高い人がたくさんの控除を申請することで税率を下げることも可能です。
家族の中で一番所得が高い人が控除を受けるとよい理由はこの辺りにもありますよ。
手間はかかりますが一度税務署で相談してみるとよいですね。