誰もが年を重ね、やがて高齢者となっていきます。
家族が高齢者となった時や自分が高齢者となった時にどのくらいの介護費用が必要になるのかは気にかかることでしょう。
介護が現実味を帯びてくる世代だからこそ、具体的な介護費用について知っておくことは大切ですね。
今回は誰しもが知っておくべき介護費用の内訳についてです。
■在宅介護だってお金はかかる
介護にかかる費用を年金収入だけで賄えればよいですが、在宅介護の場合でも年金だけでは日常生活を送る費用プラス介護費用を賄うことは難しくなります。
また、介護は初期費用も掛かるため、あらかじめ備えをしておくことも重要です。
在宅介護といって住み慣れた家で介護を受ける場合には、住まいを介護しやすいようリフォームする必要があるでしょう。
2018年の調査ですが、住宅改修を行った場合の費用は平均132万円かかっています。
他にポータブルトイレなどの衛生用品の購入なども必要となります。
■施設に入る場合には初期費用がかかる
施設に入居する場合は、初期費用として入居一時金の支払いが求められるケースもあります。
こちらは平均的に60万円前後かかっていますが、入居する施設によっては数千万~数億円の費用が必要になることがあります。
もちろん、このような高額な入居一時金が必要な介護施設はかなり豪華な居室が用意され、手厚い介護が受けられるという特徴もあります。
月々にかかる費用は、介護を受ける方の介護への依存度により変わりますが、介護サービス自体は介護保険を利用することで利用料の負担は1割~3割で済みます。
要介護3の方は介護保険の支給限度額が197,050円(2019年度の場合)ですので、この1割~3割の自己負担で利用できます。
さらに手厚い介護サービスを利用したい場合は、全額実費で支払う必要がでてきます。
要介護3の方の平均的な介護サービスへの支払いは、59,000円ほどです。要介護5になると75,000円にまで費用は高まります。
介護度が高まると、おむつや介護食が必要になってきます。
これらの介護用品を購入する費用はおおむね1万5千円程度かかるとされています。
■医療費もしっかり考えよう
他に日常生活を送るための費用や、医療費も必要となるでしょう。
公的介護施設である特別養護老人ホームに入居する場合は、居住費や介護サービス料、食費を合わせた月々の利用料は5万円~15万円ほどです。
もし公的介護施設に入居できる状態であれば、年金収入で賄える可能性は高まります。
ですが、なかなか入居できないのが現状です。
民間の介護施設では月々15万円~30万円ほどかかるのが一般的です。
■介護は期間が長くなることも・・・
介護は介護期間が長くなるとそれだけ費用が嵩んでいきます。
平均的な介護期間は3年7カ月(約43カ月)といわれています。
介護する人と介護される人が同居している場合、介護の開始から終わりまでで総額655万円ほどかかるとされ、別居の場合では415万円ほどかかるとされています。
一方施設を利用した場合には、1,164万円ほどかかっています。
老齢基礎年金を満額受け取っている場合、月65,141円(2020年度)ですから、約280万円を年金で賄えるとしても、残りは貯蓄や家族の支援で賄う必要が出てきます。
介護への備えとしては、在宅介護で150万円~375万円ほど、施設への入居を考える場合には884万円ほどは備えておきたいことが分かります。
■事前に備えることが大事!
かなり多額の備えが必要であることが分かりますね。
預貯金で備えるのは大変ですが、民間の介護保険を活用することを検討してもよいでしょう。
また、持ち家がある場合には、マイホーム借り上げ制度やリバースモーゲージを活用し介護資金を賄う方法もあります。
介護にかかる費用を備えるにあたり、将来どのような介護を望むのかも合わせて考える必要があります。
また、家族に介護を担ってもらえるのかもよく考えておくとよいでしょう。
高齢者の在宅介護は費用負担は減りますが、その分家族に肉体的負担や精神的負担、さらに時間的な負担もかかるためです。