生命保険と聞くとどのようなイメージを持つでしょうか?残念なことに悪いイメージを持つ方のほう多いように感じます。
きつい営業ノルマなどのイメージが強いというのは確かにあると思います。
しかし生命保険は私たちの生活にとって欠かすことができない重要な役割を果たしています。
この記事では生命保険とは一体どのような商品なのか、わかりやすく言うとどのような仕組みになっているのか、についてご紹介をしたいと思います。
■生命保険とは?
生命保険とはどのような商品なのでしょうか?
生命保険を商品と言うと形がないため違和感を持つ方もいるかもしれませんが、立派な商品です。
ではどのような商品なのでしょうか?
生命保険は「対象の方に万が一のことが起きた場合に残された方が経済的に困らないようにするための金融商品」です。
例えば、夫・妻・子供2人の4人家族を例にしてみましょう。
夫が一家の大黒柱で収入の多くを稼いできていて、妻は家を守りながら空いた時間でパートなどをしているという家族を考えてみましょう。
現代では共働き世帯やDINKSと呼ばれる子供のいない夫婦も増えていますが、まだまだ前述のような家族は多いと思います。
この場合、大黒柱である夫に万が一のことがあった場合に、収入が途絶えてしまいます。
あまるほどの預貯金を持っている家庭というのはほとんどありませんので残された家族は生活ができなくなってしまう可能性があります。
もちろん遺族年金や勤めていた会社の福利厚生なども助けにはなるとは思いますが、一家の生活をすべてサポートしてくれる訳ではありません。
お子さんの教育費なども親としては考えたいところでしょう。
このような場合に、生命保険に入っておけば夫に万が一のことがあっても保険金という形でお金が残された家族に支払われてその後の生活を助けてくれるのです。
■生命保険はお金を受け取る人を選べる特殊な商品
もはや当たり前になってしまうため誰も変わっているとは思わないかもしれませんが、金融商品というカテゴリーで見てみると受け取る人を選択できる商品は生命保険しかありません。
契約者を夫、被保険者も夫とした場合に、保険料を支払うのは夫で、万が一の対象になるのも夫です。
ここで死亡保険金受取人を妻としておくと、夫に万が一のことがあった場合に保険金を受けとることができるのです。
この保険金は原則、民法上、死亡保険金受取人(妻)の固有の財産とされています。
つまり預貯金やその他の方法で残しておくよりも明確に「何かあったらこの人にお金を渡したい」という人に渡すことができるのです。
■生命保険の仕組み~相互扶助~
生命保険は少額の保険料を支払って高額の保険金を受け取ることができるという商品です。なぜこのような仕組みが成り立つのでしょうか?
保険会社はなぜ少額の保険料しかもらっていないのに大金を保険金として支払うことができるのでしょうか?
それはたくさんの人が少額のお金を出し合って、困った少数の人に多額のお金を渡すという相互扶助の原則のもとで生命保険事業が作られているからなのです。
不幸なことが起こる方は少ない方が良いのは間違いありません。
しかし、一定の確率で不幸な目にあってしまう方はいらっしゃいます。
それは自分かもしれないし、他人かもしれないし・・・将来のことなので確認しようがありません。
それであれば不幸が起こってしまった方を助けるためにお互いにお金を出し合いましょうという助け合いの精神から生まれた仕組みなのです。
■保険料はこうやって計算される
生命保険の保険料はどのように計算されるのでしょうか?すごく単純なモデルで生命保険の保険料の仕組みをご紹介したいと思います。
ここに100名の方がいます。
1年後にこの100名の内、3名に不幸が起こってしまうとします。不幸になってしまった場合の経済的なダメージは100万としましょう。
この場合、1年後に支払われる保険金の金額は、3名×100万円=300万ということになります。
では100名でこの300万円を用意できればいいので、300万÷100名=3万円となり、100名の方が各自3万円という保険料を出せば、1年後の不幸にも対応ができることになります。生命保険の保険料の基礎はこのような仕組みになっています。
実際には求められる保険金額は個々人異なりますし、万が一のことが起きるのも1年後なのか10年後なのかわかりません。
また保険料を預かる保険会社の運用状況や経費の状況によっても保険料は変わってきます。
これらの要素を織り交ぜてしっかり仕組みとして機能するように計算がされているのが保険事業なのです。
「では保険会社が潰れることがないのでは??」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
確かにその通りなのです。
事前にしっかり計算をした状況に変わりがない、間違いがないという状況であれば保険会社が倒産することはないでしょう。
しかし、実際には1990年代に保険会社が直面した金利の低下による運用面でのダメージや、保険金等の給付事由の発生率が予想以上に大きかったなどの事例()によって保険会社の経営はダメージを受けてしまいます。
保険会社も皆様からお預かりした保険料をしっかり相互扶助に活かせるように運営努力をしているのです。
■なぜ一生涯、保険料が上がらないのか?
保険料についてもう一つお話をしておきたいと思います。それはなぜ保険料は生涯変わらないのか?という点です。
先に答えを言ってしまうと保険料は平準化されているからなのです。
平準化とは「でこぼこを平らにならすこと」と言うことができます。
例えば20歳、30歳、40歳、50歳、60歳の方が同じ全く同じ保険契約をすると保険料は年配者である60歳が基本的には高くなります。
人間の寿命を考えると若年者の方よりも年配者の方が死亡率は高くなります。保険会社側から考えると支払いをする可能性が大きくなるということになります。
この場合には保険会社は若年者からは少ない保険料を、年配者からは高い保険料をいただかないと収支が合わなくなってしまいます。
では1個人ではどうなのでしょうか?
20歳の方も年月が経てば30歳、50歳と年を取っていきます。
年齢が上がるにつれて保険料も上がっていくのでしょうか?
保険のその都度見直しをしてしまうと、その年齢の時の保険料計算になってしまうので年齢とともに保険料は上がってしまいますが、継続していれば基本的には保険料は上がりません(※更新契約の場合には年齢とともに保険料は上がります)。
具体例を見てみましょう。
20歳の方の保険料を10、30歳の方を15、40歳の方を20、50歳の方を25、60歳の方を30とします。平準化をしないのであれば20歳の方が年齢を重ねるにつれて保険料は、10⇒15⇒20・・・という感じで上がっていきます。
これでは生活の設計が難しくなってしまうため、保険料は平準化されて商品として提供されています。
これらの保険料をすべて合計して、20歳から60歳の6で割ると平準保険料が計算されます。
(10+15+20+25+30)÷6=16.6円
これが平準保険料の仕組みです。
若い時に多く支払い、年を取ってからはその分少なく支払うということになります。
こうして保険料を平準化することによって保険会社は「生涯保険料は上がりません」という保険商品をみなさまに提供しているのです。
■生命保険も進化する
生命保険の基礎部分についてお伝えをしてきました。
ここでさらに知っておいていただきたいことがあります。それは生命保険という商品も商品開発が行われてどんどん進化をしているということです。
当たり前のように感じるかもしれませんが、生命保険という目に見えない商品だとこの事実が真に伝わりにくいのです。
テレビや車など目に見える商品であればデザインや性能が変わるとすぐにわかります。
「あのテレビの機能がすごい!」「あの車のデザインがかっこいい!」となり買い替えをしようという気持ちが起こりやすくなります。
一定の買い替え需要が発生することによってあなたのライフスタイル合ったものがあなたの周りに揃えられることになります。
しかし、生命保険は考えるのが面倒な上に解約や契約がしにくいということもあって、新商品に対する反応が非常に薄くなっています。
あなたにしっかりとした保険担当者がいればあなたが期待する以上に色々と声をかけてくれるかもしれませんが、そのような担当者がいない方は注意が必要です。
保険商品もどんどん保障内容がよくなっています。
時代が変われば求められる保障内容も変化をしてくるため定期的に情報を収集するようにしましょう。
おすすめとしては年に1回から2回ほど生命保険についてしっかりと見直しをすることです。
可能であればお金の管理も含めて財産全体の見直しをして、現在の資産は?どこで運用している?いくらになっている?どのぐらい保障がある?保障は足りる?などのライフプランをしっかりと見直しをするようにしましょう。
3つほど生命保険が変わってきている部分についてご紹介をします。
保障内容の変更
医療保険等では顕著にみられる内容です。
保険料の値下げは数千円までに下がり、これ以上は値引きが難しいという状況にまで下がりました。
そのあと改良が進んだのが保障内容の拡大や充実化です。
医療保険で言うと手術をしたときに支払われる手術給付金の対象範囲が広がりました。
このように保険料の値下げではなく、保障内容の変更によって実質的な値下げ合戦が行われています。
新しいカテゴリーの保険の増加
時代の変化とともに必要な保障の内容もかわってきます。
現在では日本の高齢化という問題を受けて、介護保険や認知症保険などの新しいカテゴリーが充実化されてきています。
また医療保険なども若い人を対象にするだけではなく、持病の方やシニア世代を対象とした商品も数多く生まれています。
付帯サービスの増加
最後に付帯サービスの増加です。
医療保険に入るとガンの検診が受けられたり、専門家に相談することができたりと付帯サービスも昔と比べるとはるかに良いものが生まれています。
保障の拡大も限界を迎えてしまうため、その周辺のサービスの強化がされています。
実質的な保険料だけに目を向けていると損をしてしまう可能性があるため定期的に見直しをするようにしましょう。
■儲けるための商品ではない
「生命保険は儲けるための商品ではない」
ここまでしっかり読んでいただいた方はご理解をいただけると思います。
生命保険は残された家族を経済的にサポートする金融商品、お互いの助け合いの精神から生まれた仕組み、入ってきたお金を必要とした人に支払う仕組み、万が一のことが起きることから計算をして保険料を算定している・・・・これらのことを踏まえると保険を使って儲けるということは現実的ではないということがわかると思います。
あなたの保険料は他の不幸をカバーするために使わるのです。あなたがお金をもらうとしたらそれは不幸なことがあった時ということになります。
「生命保険は損だから入りたくない」「儲けれるなら入る」という考え方の人もいらっしゃいますし、その方の考え方自体を否定はできませんが、生命保険の仕組みや成り立ちから考えると儲けるための商品ではないということをご理解いただけるのではないでしょうか?
生命保険はあなたの大切な方を守るための仕組みです。しっかりと専門家から話を聞いてみることをおすすめいたします。
まとめ
いかがでしたか?
生命保険について少し理解ができたのではないでしょうか?
生命保険は「入らないといけないもの」「押し売りされる」というイメージが先行していますが、もともとは大きなリスクに対してみんなで協力し合って対応しようという相互扶助に原則にのっとって運営されているものです。
そして保険料も保険会社が適当に決めているという訳ではなく計算をして算出されています。保険料が高いということはそれだけリスクが起こる可能性がある、安いという事は起こる可能性が低いという見方もできることがわかったのではないでしょうか?
あなたもあなたの近くの人もリスクに日々さらされています。
そしてそのリスクが起こった時に残されて困ってしまう人もいる方が多いでしょう。
リスクについてしっかりと向き合い、その一つの解決策として生命保険があるということを理解しておきましょう。