相続税のわかりやすい計算方法とは?

2015年の基礎控除の改定により相続税に対する関心が強くなりました。

 

相続税の基礎控除についてはこちらの記事をご確認ください。

>>相続基礎控除とは?相続税はいくらからかかる?

 

この基礎控除の改定によって、改定前までは亡くなる方の4%が相続税の支払いをする割合だったのですが、改定後は8%ほどになり倍近くの方が相続税の支払いをしないといけなくなりました。

 

倍になったとはいえ多くの方にはほぼ関係がない割合と言えます。

 

では、自分はこの8%に入るのか?入るのであればいくらぐらいの税金がかかるのか?というのが気になる点なのではないでしょうか?

 

実際の計算は専門家である税理士の先生に、財産の評価から相続税の計算までをしていただかないといけませんが、ご自身である程度計算ができるように今回は相続税の計算方法についてご紹介をしていきます。

 

相続税とは?

相続税とは、ある方の死亡に起因して財産の移転が他の方に起こった時にその受け取った財産に対して課される税金のことを言います。

 

もっと簡単にいうと、ある方が亡くなった時に家族がお金や家などを引き継いだ時にかかる税金ということになります。

 

 

計算方法

それでは相続税の計算方法を見ていきましょう。

 

わかりやすさを重視するため多少表現に正確性がない場合もございますのでご了承ください。

 

■1、遺産の評価額を出す

相続税を計算するためには、まずは残された遺産に対して価格をつけていかないといけません。

 

現金などはそのまま額面通りとなりますが、骨董品などはパッと見て価格がわかりません。

 

また事業を行なっている方であれば、会社の自社株式もあるでしょう。

 

これらを相続税の計算をするために決められた価格の算出方法で価格を出していきます。

 

相続税評価額という基準のことを言います。

 

■2、遺産を合計する

各遺産の評価額がわかったらそれらを合計し、遺産総額を出します。

 

後ほど説明しますが、本来は相続財産にはならないが、税金の計算上は相続財産として計算をする「みなし相続財産」を含めて計算をしましょう。

 

ここでさらに注意をしたいのが非課税の財産です。

 

例えば生命保険などは「500万×法定相続人の数」は非課税枠となりますので、加算をしません。

 

墓地なども非課税財産となるため加算をしませんので注意をしましょう。

 

どの財産を加算するのか、加算をしないのかは専門家でないと判断が厳しいでしょう。

 

一般的な概要の説明あれば相続診断士やファイナンシャルプランナーに、しっかりした評価や計算であれば税理士に相談をしましょう。

 

■3、基礎控除を差引する

ここまで計算した金額から基礎控除を差し引きます。

 

ようやくここで「3,000万+(600万×法定相続人)」という式が登場します。

 

この段階で基礎控除額の方が大きい場合には課税されませんので、相続税の申告を行う必要はありません。

 

■4、法定相続分で分けた取得額を計算

ここからは理解がしにくいところなのですが、ここまでに出した金額を民法で定めている法定相続分で分割をしたものと仮定をして各個人の税金を計算していきます。

 

実際には、数名の方がいて1名の方が財産を受け取ることもありますし、法定相続分の通りに受け取らないといけない訳ではありません。

 

あくまで仮定として法定相続分で分割をしたとして計算をしていきます。

 

相続人が妻と子供2名であれば、法定相続分である「妻:1/2」、「子供それぞれ:1/4」で計算をしていきます。

 

仮にここまでの金額が5,000万であれば、妻の分は「5,000万×1/2=2,500万」となります。

 

子供達は、「5,000万×1/4=1,250万」となります。

 

 

■5、税率をかけて個々の税金額を計算する

ここまでで各相続人の法定相続分の計算ができました。

 

この金額に対して税率をかけていきます。

 

相続税の税率 令和2年時

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超〜3、000万円以下 15% 50万円
3,000万円超〜5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超〜1億円以下 30% 700万円
1億円超〜2億円以下 40% 1,700万円
2億円超〜3億円以下 45% 2,700万円
3億円超〜6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

 

先ほど算出をした妻の法定相続分:2,500万円と子供たちの法定相続分:1.250万円で計算をして見ましょう。

 

妻の方は、2,500万円なので税率は15%になりますので、「2,500万円×15%−50万円=325万円となります。

 

子供たちの方も、1,250万円なので同じく税率が15%となり、「1,250万円×15%−50万=137.5万円となります。

 

この家庭の相続税は、325万円+137.5万円+137.5万円=600万円ということになります。

 

■6、実際に取得をした財産の割合で税金を分ける

ここまででその家庭での相続税の額が算出されました。

 

相続税の計算上、仮に法定相続分として計算を認め、各自で計算をした法定相続分で税金として納めないといけない訳ではありません。

 

実際に相続をした財産の比率に応じて、相続税が課税されます。

 

妻が全ての財産100%を取得したのであれば、妻が600万円の相続税を納税します。

 

妻が80%、子供が10%ずつであれば、妻が480万円、子供が各自60万円を納税します。

 

計算過程で出てくる法定相続分はあくまで仮であるということをしっかり理解しないと混乱をしてしまうので注意をしてください。

 

 

生前贈与に注意

ここまで相続税の計算方法をご紹介してきましたが、気をつけないポイントは複数ありますので必ず税理士に相続税の算出をしてもらうようにしましょう。

 

一般的に多い例として、生前贈与に注意をするようにしましょう。

 

相続税の対策として、生前に財産をあげてしまう(贈与する)という方法が色々な専門家から提案をされます。

 

贈与自体は有効な方法だと思いますが、死亡前3年以内の生前贈与は、なかったものとして相続財産に加算されて相続税が計算されるので注意をしましょう。

 

またここでは詳しくご紹介をしませんが、相続時精算課税とう制度を利用した場合も、加算をしないといけないため注意をするようにしましょう。

 

みなし相続財産に注意

みなし相続財産とは、民法上は相続財産にはならないので遺産分割の対象にはならないが、相続税法上は相続財産とみなして課税対象となる財産のことを言います。

 

生命保険

生命保険は、死亡保険金受取人の固有の財産であるため原則的には相続財産には含まれません。

 

つまり、ある人が亡くなったからもらったのではなく、もともとその人の財産だということですね。

 

ただし、相続税の計算上では生命保険も相続財産とみなされてしまいますので非課税枠を超える部分は課税対象となります。

 

退職金

生命保険と同じて一定の要件を満たしている場合は原則的には相続財産には含まれません。

 

しかし、生命保険と同じくみなし相続財産になります。

 

 

知っておきたい特例制度

相続税には知っておきたい特例制度がいくつかあります。

 

この記事では、代表的な2つをご紹介します。

 

小規模宅地の特例

小規模宅地の特例とは、一定の要件を満たすと土地の評価が最大80%減額できる特例です。

 

財産の中でも土地は大きな金額を占めることが多いため、非常に重要な特例であると言えます。

 

相続税の計算や申告をする税理士は、まずこの特例がしっかり使えるのか?というところから相続税の対策を進めていくと聞いたことがあります。

 

 

配偶者の税額の軽減

財産を受けとっった配偶者の遺産総額が、①1億6千万円、②配偶者の法定相続相当額、のどちらか多い金額までは相続税はかからないという特例があります。

 

非常に魅力的な特例ですが、しっかり相談をして対応をしないと財産を多く受け取った配偶者が亡くなって相続が発生した時に大きな税金がかかってしまう可能性があるので注意が必要です。

 

もう少し具体的に説明すると、大きな財産を持つ夫が亡くなって、相続税の負担を抑えるため妻がほぼ全額相続をしたとします。

 

その妻もおいおいは最期を迎えるため、今度は子供たちが相続をします。

 

しかし、子供たちが相続をする時には配偶者の税額軽減はないので大きな相続税になってしまう可能性があります。

 

この相続を2次相続と言いますが、この2次相続まで含めて検討をする必要があります。

 

 

早見表を使おう

ようやくこの記事でお伝えしたい内容にまでたどり着くことができました。

 

各専門家に相談をしていただきたいという前提ですが、まずは相続税の早見表を使ってご自身の家族が相続税の支払いをしないといけないのかどうなのかを確認するようにしましょう。

 

「相続税 早見表」で検索をするとたくさん早見表が出てきますので、見やすい表でご確認してください。

 

この記事でも相続する財産額2億円まで、配偶者と子供1人〜3人の場合の表をご紹介します。

 

相続税の早見表

※法定割合で相続し、配偶者税額軽減を適用しているという前提

配偶者+子供1人 配偶者+子供2人 配偶者+子供3人
4,000万円
5,000万円 40万円 10万円
6,000万円 90万円 60万円 30万円
7,000万円 160万円 113万円 80万円
8,000万円 235万円 175万円 138万円
9,000万円 310万円 240万円 200万円
1億円 385万円 315万円 263万円
1億5,000万円 920万円 748万円 665万円
2億円 1,670万円 1,350万円 1,218万円

 

最後に

いかがでしたか?

 

相続税の計算ってすごく大変だな〜と感じたのではないでしょうか?

 

しかし大半の方が相続税はかからない可能性が大きいですし、かかっても保険などを活用すると支払いに困らないように対策することも難しくありません。

 

いきなり税理士に相談するのが心理的に負担という方は、保険代理店・相続診断士・ファイナンシャルプランナーにご相談ください。

 

 

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